再生計画
民事再生手続において,弁済期にある債務の弁済ができないなど経済的に苦しい状況にある債務者(再生債務者)は,事業の再建方法及び債務の一部免除・弁済方法を規定した再生計画案を作成します。再生計画案は,債権者の多数決(議決権者の過半数及び議決権額の1/2以上の賛成)による可決及び裁判所の認可により確定し,以降,再生計画にしたがった弁済を行います。
再生計画案の一般的な内容は,以下のとおりです。
- 民事再生手続申立てに至った原因
- 財産の状況と破産配当率
- 事業の再建方法
- 再生債権の権利変更内容及び弁済方法
- 共益債権及び一般優先債権の弁済方法
- 再生債権弁済計画表
再生計画案における権利変更の内容は,弁済総額が破産配当額を上回ること(清算価値保証の原則)及び権利変更の内容が再生債権者間で平等であること(債権者平等原則)が必要です。
また,再生債務者にとっては,再生計画に基づき債務の一部免除を受けて事業の再建を実現するにあたり,債務免除の割合が大きいほうが,今後の弁済の負担が軽くなりなります。しかし,再生債権者は主に再生計画案の内容を検討して賛成するか反対するかを検討するところ,債権者集会で再生計画案が否決されると,多くの場合は破産を余儀なくされてしまいます。
さらには,弁済計画案の策定にあたっては,弁済期間の収支状況(資金繰り)の見込み,債務免除益の処理(繰越欠損金,資産の評価替え等)等,将来の事業活動の適切な予測及び会計・税務面の分析と適切な処理が求められます。
そこで,再生計画案の内容は,再生債権者,取引先,従業員等の利害関係人の意向を踏まえつつ,事業の再建のため,再生債務者,申立代理人,会計士・税理士が協議・検討を重ねて,合理的かつ戦略的に作成することが必要です。