破産管財人
破産管財人とは,破産手続において破産財団に属する財産の管理及び処分をする権利を有する者をいいます(破産法2条12項)。
裁判所は,破産手続開始の決定と同時に,破産管財人を選任します。通常は,破産者及び主要な破産債権者と利害関係のない弁護士が選任されます。なお,事業者の場合,多くは弁護士に依頼をして破産手続の申立てをしますが,債務者から破産手続の申立てについて依頼を受けた弁護士(申立代理人)と破産管財人とは別の弁護士であり,破産管財人は債務者の代理人ではありません。
破産管財人の主な職務は以下のとおりです。
- 破産者が有していた財産の換価・処分・回収
- 破産債権の認否(破産者に対する債権の有無及び額の確定)
- 債権者に対する配当
- 裁判所・破産債権者に対する報告
このような破産管財人の職務を実効的なものとするため,破産管財人には以下の権限が認められています。
- 破産手続開始決定により,破産者の財産(自由財産を除く)の管理及び処分をする権利(破産法78条1項)
- 否認権(破産手続開始決定前になされた債権者を害する行為の効力を否定して,破産者の財産を原状に復させる権限)(同法160条以下)
- 破産者,破産者の代理人,破産者の従業員・理事・取締役等の破産管財人の請求による説明義務(同法40条)
破産管財人の主な職務及び権限は上記のとおりであり,破産管財手続において破産管財人は中心的な役割を担います。破産管財人が職務を遂行する上での行動原理は,適法・適正,破産財団・破産配当の極大化,迅速性です。破産管財人自身が破産法その他の法令に基づき適法・適正に職務を遂行することはもちろん,否認権の行使等により破産者による違法・不適切な行為を是正します。また,破産手続の目的は「債務者の財産等の清算」(破産法1条)であり,破産管財人は出来る限り高額で財産等を換価し,出来る限り多額の破産配当を実現します。ただし,破産管財手続に長期間を要すると,それだけ破産債権者の回収が遅れ,また,個人破産の場合の破産手続のもう1つの目的である「債務者の経済生活の再生」を阻害します。そのため,破産管財人は,適法・適正を確保して出来る限り高額での換価の実現と迅速性を両立しつつ手続を進めます。
破産管財人は裁判所が選任しますが,法律事務所は,複数の弁護士が大型破産事件の破産管財事件の経験を有し,また,破産管財人の職務もチームで対応する等,破産管財業務について豊富な経験・ノウハウを有しています。特に事業者の破産申立てにおいては,破産法その他の法令に準拠し,かつ,破産管財人の処理方針を見越した対応が必要となります。破産管財業務の豊富な経験・ノウハウを持つ法律事務所は,破産申立てにあたり,適法・適正性を確保しつつ,可能な限り依頼者(債務者)の負担が少ない方法を検討します。