現在，政府は中小企業施策において，中小企業にはライフサイクルがあり，成熟期を超えた中小企業の「新陳代謝」の必要性を説き，これを促進するために，銀行や信金・信組等の金融機関や中小企業を支える専門家の「廃業支援」の重要性を強調しています。

しかし，赤字会社の廃業は決して簡単ではありません。なぜなら，中小企業の場合，会社の借入れに対して経営者自身が連帯保証人になっているケースがほとんどだからです。そして，経営者の多くは，赤字会社を廃業するには，会社も経営者自身も破産という最後の手段を用いる他ないと考えてしまいがちです。

少し待ってください。事業譲渡＋特別清算＋経営者保証ガイドラインという手続を利用することによって，経営者は，会社の事業，従業員やその家族，経営者自らやその家族を守ることができるのです。すべての場合ではありませんが，一定の適応条件を満たせば，それが可能となります。

本書は，私にとって初めての一般の方々向けの出版であり，慣れないところも多く，筆が進んで専門的な手続の説明が長くなったり，逆に，事例の紹介等において簡潔過ぎてわかりにくい部分もあるかと存じます。しかし，私の経験を踏まえ，今，考えていること，実践していることをできる限り率直にお伝えしました。

本書が悩める経営者の方々の問題を解決し，力強く人生の再スタートを切るためのお役にたてれば幸いです。