「契約の束」論への秋風と公開会社法 |トピックス|しょうぶ法律事務所 「契約の束」論への秋風と公開会社法 |トピックス|しょうぶ法律事務所

topics

「契約の束」論への秋風と公開会社法

平成17年に制定された会社法の一つの特色として,規制緩和,定款等による大幅な当事者自治の取り込み,任意法規化によって当事者の自由に委ねる方向がありました。この定款自治の考え方は,アメリカ会社法学の「契約の束」の理論の影響があるといわれます。しかし,この「契約の束」の理論は,個人主義,個人の自己責任を前提として,契約自由の確保こそが自由な競争とそれによる経済的発展をもたらすものであり,競争の確保すなわち市場メカニズムの確保こそが最適の結果を生みだすという経済的自由を基盤とされています。
 ところが,2008年のいわゆるリーマン・ショック以降,自由な競争に対する神話が崩れ,個人の自己責任という言葉は,最近は全く聞かれなくなりました。そういう意味で,「契約の束」理論の影響を受けた平成17年の会社法は,時代の変わり目に取り残されたようです。
今年に入って,民主党の千葉法務大臣が,約3900社の上場会社を対象とする公開会社法構想を打ち上げています。その内容は,社外取締役の強化や親子上場規制等,企業統治を強化する指向性が強いと噂されています。一人残された会社法が上場会社の部分だけでも,時代を追いかけるのか,目が離せません。

一覧に戻る

[ CONTACT ]

ご質問やご相談については,まずはお問い合わせフォームから,お気軽にお問い合わせください。