2011.09.23
ニュース
建物の建築に携わる設計・施工業者等の建物等の瑕疵に関する第三者に対する責任
建物の建築に携わる設計・施工業者等(以下「設計・施工業者」といいます)は,建築主との間で,請負契約を結び,建築物に瑕疵があれば,建築主に対して瑕疵担保責任を負うのが原則です。契約関係にない居住者等に対する関係において,不法行為責任を負うのは,設計・施工業者に,強度の違法性や建築基準法違反等がある場合に限られるとされてきました。
ところが,最高裁は,「建物は,建物利用者や隣人,通行人等の生命,身体又は財産を危険にさらすことが内容な安全性を備えていなければならず,このような安全性は,建物としての基本的な安全性である」。「建物の建築に携わる設計者,施工者及び工事監理者は,建物の建築に当たり,契約関係にない居住者等に対する関係でも,当該建物に建物としての基本的な安全性が欠けることがないように配慮すべき注意義務を負うと解するのが相当であり,・・・設計・施工者等がこの義務を怠ったために建築された建物に建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵があり,それにより居住者等の生命,身体又は財産が侵害された場合には,設計・施工者等は,不法行為の成立を主張する者が上記瑕疵の存在を知りながらこれを前提として当該建物を買い受けていたなどの特段の事情のない限り,これによって生じた損害について責任を負う」と判示しました(最判平成19・7・6民集61巻5号1769頁)。
設計・施工業者は,建物の建築に当たり,契約関係にない建物の居住者等には,建物の基本的な安全性の確保によって守られるべき一般的な保護法益が存在することを承認し,そこから設計・施工業者が居住者等の第三者に対して負うべき注意義務を導き出したものであり,設計・施工業者は,請負契約の当事者である建築主以外の第三者に対してもより広範囲に責任を負うことになると思います。
建物の基本的な安全性の確保は当然なこととはいえ,設計・施工者にとっては,責任の範囲がより広くなった観があります。建築コスト的に厳しい状況におかれている設計・施工者にとっては,十分な注意が必要です。
ところが,最高裁は,「建物は,建物利用者や隣人,通行人等の生命,身体又は財産を危険にさらすことが内容な安全性を備えていなければならず,このような安全性は,建物としての基本的な安全性である」。「建物の建築に携わる設計者,施工者及び工事監理者は,建物の建築に当たり,契約関係にない居住者等に対する関係でも,当該建物に建物としての基本的な安全性が欠けることがないように配慮すべき注意義務を負うと解するのが相当であり,・・・設計・施工者等がこの義務を怠ったために建築された建物に建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵があり,それにより居住者等の生命,身体又は財産が侵害された場合には,設計・施工者等は,不法行為の成立を主張する者が上記瑕疵の存在を知りながらこれを前提として当該建物を買い受けていたなどの特段の事情のない限り,これによって生じた損害について責任を負う」と判示しました(最判平成19・7・6民集61巻5号1769頁)。
設計・施工業者は,建物の建築に当たり,契約関係にない建物の居住者等には,建物の基本的な安全性の確保によって守られるべき一般的な保護法益が存在することを承認し,そこから設計・施工業者が居住者等の第三者に対して負うべき注意義務を導き出したものであり,設計・施工業者は,請負契約の当事者である建築主以外の第三者に対してもより広範囲に責任を負うことになると思います。
建物の基本的な安全性の確保は当然なこととはいえ,設計・施工者にとっては,責任の範囲がより広くなった観があります。建築コスト的に厳しい状況におかれている設計・施工者にとっては,十分な注意が必要です。