2014.04.03
ニュース
高齢者の認知症と公正証書遺言無効(意外と多い?)
公正証書遺言は,ご存じ方も多いと思いますが,公証人の面前で遺言者が遺言内容を公証人に口授(口頭で授ける)ものであって,その内容についての信頼度は高いと考えられています。
ところが,高齢者の公正証書遺言の事案において,その公正証書遺言が遺言能力がないということで無効になることがあります。先日ここでご紹介した,本山敦・奈良輝久編『相続判例の分析と展開』(金融商事判例No1436号)においても,本山敦教授は,公正証書遺言が無効となる裁判例は公刊ベースで年間1~2件あり,実際にはさらに多いだろう,と説明しています。
現実に,法律事務所では,これまで4件の公正証書遺言無効の事件を担当し,うち3件は第1審の地方裁判所で遺言無効の裁判が受け,残りの1件は遺言能力に問題があることを前提に一定額の金銭の授受を伴う和解をしています。いずれも病院のカルテないしは看護記録の中に痴呆症という言葉があったケースですが,医学的な客観的な資料を伴って裁判になるようなケースにおいては,遺言無効となるケースが意外に多いと言えるかもしれません。
公正証書遺言の作成の現場において,公証人が遺言者の遺言能力を確認するのは容易でなく,かといって,痴呆症等の理由で遺言能力を欠く恐れのある場合には,すべて医師の診断書(遺言能力には問題ないという内容)を要求することもできません。
公正証書遺言といっても,難しい問題を包摂しており,今後,一層高齢化社会が進み,また人々の遺言書作成に対するニーズが広まることを考えると公正証書遺言であってもその遺言能力の有無については留意する必要があると思います。
ところが,高齢者の公正証書遺言の事案において,その公正証書遺言が遺言能力がないということで無効になることがあります。先日ここでご紹介した,本山敦・奈良輝久編『相続判例の分析と展開』(金融商事判例No1436号)においても,本山敦教授は,公正証書遺言が無効となる裁判例は公刊ベースで年間1~2件あり,実際にはさらに多いだろう,と説明しています。
現実に,法律事務所では,これまで4件の公正証書遺言無効の事件を担当し,うち3件は第1審の地方裁判所で遺言無効の裁判が受け,残りの1件は遺言能力に問題があることを前提に一定額の金銭の授受を伴う和解をしています。いずれも病院のカルテないしは看護記録の中に痴呆症という言葉があったケースですが,医学的な客観的な資料を伴って裁判になるようなケースにおいては,遺言無効となるケースが意外に多いと言えるかもしれません。
公正証書遺言の作成の現場において,公証人が遺言者の遺言能力を確認するのは容易でなく,かといって,痴呆症等の理由で遺言能力を欠く恐れのある場合には,すべて医師の診断書(遺言能力には問題ないという内容)を要求することもできません。
公正証書遺言といっても,難しい問題を包摂しており,今後,一層高齢化社会が進み,また人々の遺言書作成に対するニーズが広まることを考えると公正証書遺言であってもその遺言能力の有無については留意する必要があると思います。