セミナー紹介(事例から学ぶ企業不正・不祥事対応)―先日,顧問先の会社にて,「事例から学ぶ企業不正・不祥事対応」のセミナーを開催しました。
昨今,新聞紙上を賑わしている,旭化成建材くい打ち事件,東洋ゴム免震・防振ゴム事件及びタカタ製エアバック事件を切り口とし,まず,企業不正・不祥事の原因と背景について一般的なご説明をさせていただいた上で,出席者の皆様と企業不正・不祥事の原因・背景・対応策・防止策について,意見交換をしました。出席者から,防止策について,「いかにして不正・不祥事の情報を上層部がキャッチするのか」というご質問がありました。私は,不正・不祥事の初期情報が適切・適時に上層部(しかるべき部門)に伝われば,多くの場合,世間の非難を浴びるような大きな事件には発展しないだろうと思われます。企業風土や会社内のコミュニケーションの質が問われます。それぞれの企業で実情も異なり,難しい問題です。
また,品質保証業務の担当者について業務上過失致死罪を認めた三菱自動車トラックタイヤ脱輪事件(最判平成24年2月8日),会社の代表取締役について業務上過失致死傷罪を適用したパロマガス湯沸器事件(東京地判平成22年5月11日)等について事例を説明をし,企業不正・不祥事の際の役員・従業員の刑事責任についても認識を共有しました。これらの事件を通してみると,過去に類似事件があり,その経験から,将来,類似事件が起こるかもしれないことを認識したにもかかわらず,有効な対策を取らずこれを放置した場合には,関係者(場合によっては代表取締役も),刑事責任を負うことがあることがわかります。
企業不正・不祥事対応については,企業関係者の皆様の関心がとても深いところですね。ご要望があれば,皆様のところにお伺いし,セミナーを務めさせていただきます。よろしくお願いします。
山田 尚武