2016.12.07
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平成28年12月1日,仮差押え時に同一の所有者に帰属していた土地建物がその後別々の所有者に帰属することになった場合について,法定地上権の成立を肯定する最高裁判例が出ました。民事執行法第81条について,これまで学説上争いがあった部分です。これによって,地上建物に仮差押えをした債権者の「地上権がある」という合理的期待が保護され,また,競売で建物を落札した者は土地を利用できることになります。
民事執行法81条は,①差押えの当時,土地上に建物が存在すること,②土地と建物が同一所有者に属すること,③土地と地上建物の一方又は双方の差押え,売却があったこと,④売却の結果,両者がそれぞれの所有者を異にするに至ったことという要件を満たす場合に,法定地上権が成立すると定めています。
今回の最高裁は,仮差押えがなされたにすぎない場合について,「本差押え前の仮差押え段階で土地と建物の所有者が同一なら,その後の競売で法定地上権が成立する」として,仮差押え時点の所有関係を基準に,法定地上権の成立を肯定しました。
理由として,「地上建物の仮差押えの時点で土地及び地上建物が同一の所有者に属していた場合も,当該仮差押えの時点では土地の使用権を設定することができず,その後に土地が第三者に譲渡されたときにも地上建物につき土地の使用権が設定されるとは限らないのであって,この場合に当該仮差押えが本執行に移行してされた強制競売手続により買受人が取得した地上建物につき法定地上権を成立させるものとすることは,地上建物の収去による社会経済上の損失を防止しようとする民事執行法81条の趣旨に沿うものである。」「また,この場合に地上建物に仮差押えをした債権者は,地上建物の存続を前提に仮差押えをしたものであるから,地上建物につき法定地上権が成立しないとすれば,不測の損害を被ることとなり,相当ではないというべきである。」としています。
今回の最高裁は,仮差押えがなされたにすぎない場合について,「本差押え前の仮差押え段階で土地と建物の所有者が同一なら,その後の競売で法定地上権が成立する」として,仮差押え時点の所有関係を基準に,法定地上権の成立を肯定しました。
理由として,「地上建物の仮差押えの時点で土地及び地上建物が同一の所有者に属していた場合も,当該仮差押えの時点では土地の使用権を設定することができず,その後に土地が第三者に譲渡されたときにも地上建物につき土地の使用権が設定されるとは限らないのであって,この場合に当該仮差押えが本執行に移行してされた強制競売手続により買受人が取得した地上建物につき法定地上権を成立させるものとすることは,地上建物の収去による社会経済上の損失を防止しようとする民事執行法81条の趣旨に沿うものである。」「また,この場合に地上建物に仮差押えをした債権者は,地上建物の存続を前提に仮差押えをしたものであるから,地上建物につき法定地上権が成立しないとすれば,不測の損害を被ることとなり,相当ではないというべきである。」としています。