2016.11.04
ニュース
定年後の再雇用において,仕事内容は同じなのに賃金を引き下げられることの是非が争われた訴訟で,平成28年11月2日,東京高裁は,減額を不当として会社に賃金支払を命じた一審の東京地裁判決を取り消し,原告の請求を棄却しました。
以前,本ホームページのトピックス(平成28年6月10日付け)でお伝えしたように,一審(東京地判平成28年5月13日)では,定年退職後に運送会社に再雇用された嘱託社員のトラック運転手3人が,正社員との賃金格差の是正を求めた訴訟で,「業務内容が同じなのに賃金が異なるのは不合理」であり,再雇用者の賃金を下げる運送会社の社内規定は「労働契約法20条に違反する」として,正社員との賃金の差額計約400万円を支払うよう運送会社に命じていました。
しかし,控訴審である東京高裁は,「企業に60歳以上の雇用が義務付けられる中」,「企業は賃金コストが無制限に増大することを避け,若年層を含めた安定的な雇用を実現する必要がある」と指摘し,定年前と同じ仕事内容で賃金が一定程度減額されることについて,「一般的に広く行われており」「社会的にも容認されている」との判断を示し,不合理ではないと結論づけています。今回の事例では,賃金の減額幅が20%台であったことや,退職金が支払われていたこと,同程度の規模の企業より減額幅が小さかったことなども事情として考慮され,労働契約法に違反しないと結論づけられました。
この判決の影響(実務がどのように動いていくか)については,今後も注目していく必要があるでしょう。
しかし,控訴審である東京高裁は,「企業に60歳以上の雇用が義務付けられる中」,「企業は賃金コストが無制限に増大することを避け,若年層を含めた安定的な雇用を実現する必要がある」と指摘し,定年前と同じ仕事内容で賃金が一定程度減額されることについて,「一般的に広く行われており」「社会的にも容認されている」との判断を示し,不合理ではないと結論づけています。今回の事例では,賃金の減額幅が20%台であったことや,退職金が支払われていたこと,同程度の規模の企業より減額幅が小さかったことなども事情として考慮され,労働契約法に違反しないと結論づけられました。
この判決の影響(実務がどのように動いていくか)については,今後も注目していく必要があるでしょう。