2017.04.07
ニュース
日経新聞朝刊(今年4月4日)の経済教室に「保守的な経営が蔓延し収益性は低水準」「非連続的なリスクをとる経営に不向き」という記事がありました(慶應義塾大学准教授,齋藤卓璽氏)。オーナー系を除いた東証株価指数(TOPIX)100に含まれる銘柄の2011年度から2016年度までの状況を見ると,約7割の会社について社長経験のある会長がいて,退任後に会長に就任する社長の任期の中央値6年,会長5年である。
このようなリーダーの併存は,経営の円滑な承継の観点からは評価されるかもしれないが,非連続的なリスクをとる経営に不向きであるとの指摘です。コーポレートガバナンスコードの本質は,日本の上場会社には,保守的な経営が蔓延し収益性は低水準であることに鑑み,企業価値の向上のために積極的に打って出るという「攻めのガバナンス」にあり,取締役会も経営トッポが「攻めのガバナンス」に打って出られるよう環境づくりにあるということができます。齋藤先生のご指摘は,簡単な数字を示すことで日本経営の一番痛いところを突いています。
山田 尚武
山田 尚武