2022.01.24
私,山田尚武が執筆した論文「中小PMI手続の実務」が,雑誌「事業再生と債権管理」(No.175,2022年1月5日号)に掲載されました。
とりわけ中小企業を対象にしたM&Aについて,昨今,中小M&Aガイドラインの策定(2020年3月)や中小M&A推進計画(2021年4月)が閣議決定されたことで,売りサイドには安心できる取引への道筋が確保されてきています。しかし,買いサイドに対する安心できる取引(M&Aが成功するものであるとの期待や革新)の確保に関しては,まだ十分ではありません。
そこで,政府は,現在,中小PMIガイドライン(仮称)を策定中です(私は,同策定委員会の委員ですが,本論文は,私の私見です。)。本論文のポイントは,次のとおりです。
①買いサイドの観点から,M&Aは全体としての一つの手続であるという認識のもと,プレM&Aフェーズ,移行フェーズ(秘密保持契約,基本合意,DD,最終契約,クロージング)及びPMIフェーズ(クロージングの翌日から1年)という3つのフェーズに分けて分析し,その手続を進めていくことが適当である。
②現在策定中の中小PMIガイドラインの公開資料についても考察し,その資料中の,「M&Aでシナジーを感じている譲受側ほど,早期からPMIを視野に入れた検討に着手している傾向が読み取れる」という事実に着目し,適切に中小PMI手続を進めていくには,できれば,プレM&Aフェーズ,遅くとも移行フェーズにおいて,PMIを意識した各種実践がなされるべきである。
③PMIフェーズの100日プラン並びにDay1・Day30及びDay100とのマイルストーンについての理解と実践が必要である。
ぜひ,この機会にご高覧いただくとともに,ご意見・ご感想等がございましたら,お気軽にお寄せください。