借地借家法の「正当事由」と都市再開発についてのその後の裁判例 |トピックス|しょうぶ法律事務所 借地借家法の「正当事由」と都市再開発についてのその後の裁判例 |トピックス|しょうぶ法律事務所

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借地借家法の「正当事由」と都市再開発についてのその後の裁判例

前回、現在の借地借家法改正の際、更新拒絶・解約申入れ時の正当事由は、当時主張された都市再開発促進論との関係が薄められ又は否定されて成立した、と書きました。

しかし、その後の裁判例には、必ずしもこの改正時の経緯に沿うものとなっていないものも散見されます。

 

例えば、以下のような裁判例があります。

現存する建物の解体と新分譲マンション建築という再開発目的で土地建物を競落した者が、建物の賃借人(競落人に対抗できる)に対して賃貸借契約の解約を申し入れた事案(東京地判平成11年1月22日金法1594-102)

→賃借人に物件を使用する必要性がないとはいえないが、建物が老朽化しており近い将来建替えの必要があること、その際には賃借人も移転する必要があること、賃借人が建物を有効に利用できているとはいえないこと等に照らして、競落人のマンション建築計画には一定の合理性があると認定し、新所有者が申し出た立退料8000万円の提供によって正当事由が具備されると認めた。

 

もちろん逆に、法改正前でも、再開発目的での借地借家契約解消の申入れなどに正当事由を認めなかった裁判例もあります。

賃貸人からの利益追求的要素が強い再開発計画に基づく賃貸用ビル建設を目的としてなされた建物賃貸借の解約申入れについて、正当事由を認めなかった(東京地判平成元年6月19日判タ713-192)。

 

土地建物を使い続けたい賃借人側と、不動産を他の用途で有効活用したい賃貸人側とのせめぎあいは、これからも続いていきそうです。

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