2023.11.02
戸籍の記載事項に、氏名の振り仮名も加わることになりました。
令和5年6月に戸籍法が改正され、戸籍に、氏名だけでなく、その振り仮名も記載されることになりました。
実は、戸籍に振り仮名を記載することについては、昭和の頃から検討されていたのですが、長年見送られてきました。
ところが、令和に入ってから、氏名の振り仮名を公式に確定してデジタル社会のインフラとして活用することを推進するという観点から検討が加速し、今回の法改正に至ったのです。
改正法が施行されると、出生届などに際し、氏名の振り仮名も記載することになります。
振り仮名の読み方は、氏名として用いられる文字の読み方として一般に認められているものでなければならない(新戸籍法13条2項)、とされています。
ただ、日本には昔から「名乗り訓」というものがあり、名前に用いられる場合だけに使われる漢字の特別な読み方が広く許容されてきた歴史があります。
例えば、鎌倉幕府を開いた源頼朝の「朝」は「とも」と読みますが、このような読み方は名前の場合以外には使われません。
総理大臣であった池田勇人の「勇人」=「はやと」も、名前以外の場面では用いられない特殊な読み方です。
このように我が国に定着している名づけの文化を否定してしまわないためにも、届け出られた振り仮名については、幅広く柔軟に認めていく運用が必要となります。
政府もそのようにしていく方針のようですが、実際に制度が始まると混乱が起きることがあるかもしれません。
どのような名前になるかは親と子双方の権利に関わる問題ですので、弁護士も、今後の振り仮名に関する戸籍の運用が国民の権利を侵害するものとなっていかないか、目配りをしていく必要があると思っております。