2023.04.17
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株主総会の取締役選任決議に瑕疵があった場合、その後の株主総会決議も瑕疵を帯びる、との最高裁判決が出ました。瑕疵の連鎖を断つ手段としては、少数株主による株主総会の招集があります。
最高裁は、令和2年に、中小企業等協同組合法に基づく事業協同組合の理事の選挙に関する判決を出しました(最高裁第一小法廷判決令和2年9月3日民集74巻6号1157頁)。
株主総会に置き換えて説明しますと、判決は、株主総会①での取締役選任決議が取り消されて当初から無効だったこととなった場合、その後の株主総会②も、無効な株主総会①で選出された取締役で構成される取締役会による招集決定に基づいて、同取締役会で選出された代表取締役(指名委員会等設置会社の場合は代表執行役)によって招集されるので、瑕疵を帯びる、としたのです。
この判決によると、取締役を選任する株主総会決議に一度でも瑕疵があると、その瑕疵は次の株主総会の有効性にも影響を及ぼしてしまうので、将来にわたってずっと有効な株主総会を開催できなくなってしまうように見受けられます。
この瑕疵の連鎖を断つには、どうすればよいのでしょうか?
まず、いわゆる全員出席総会において取締役を選出しなおすことが考えられます。
しかし、この方法は、会社によっては実現困難でしょう。
現在、実務では、少数株主が裁判所の許可を得て株主総会を招集し(会社法297条4項)、新たな取締役の選任決議をする、という方法をとることが多いようです。
そうすることで、有効に選任されていなかった取締役の関与を排して株主総会を招集することができ、瑕疵の連鎖も断つことができるのです。