花火大会で販売された冷やしきゅうりによる集団食中毒について、露天商に損害賠償を命じる裁判例がありました。 |トピックス|しょうぶ法律事務所 花火大会で販売された冷やしきゅうりによる集団食中毒について、露天商に損害賠償を命じる裁判例がありました。 |トピックス|しょうぶ法律事務所

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花火大会で販売された冷やしきゅうりによる集団食中毒について、露天商に損害賠償を命じる裁判例がありました。

平成26年夏に行われた花火大会で、露店で販売されていた冷やしきゅうりを食べた人たちが集団でO-157による食中毒を発症した、という事案がありました。

その後平成27年に、この食中毒被害に遭った人たちが原告となり、原因となった冷やしきゅうりを販売した露天商などを被告として、製造物責任又は不法行為責任に基づく損害賠償を請求した裁判が起こされました。

この裁判で、露天商側は、冷やしきゅうりは製造物責任法3条本文の「製造物」に当たらないなどと反論していました。

この事件で、判決(静岡地方裁判所令和3311日判決・国民生活20234月号31頁、Westlaw Japan)は、「食品の場合、原材料に味付けなどを行ってこれに新しい属性、価値を付加したといえる程度まで人の手が加えられていれば、加工に該当する」としました。

その上で、判決は、本件の冷やしきゅうりは原材料のきゅうりを調味料に漬けて味付けし、味や食感に新たな属性、価値を付加したものであるから、「加工された動産」としての「製造物」に当たり被告の露天商は本件の冷やしきゅうりを製造した「製造業者」であると判断しました

そうして結論として、裁判所は、製造業者である露天商は、「その製造物である本件冷やしきゅうりが通常有すべき安全性を欠いた欠陥により、他人の身体等を侵害したものであり、これによって生じた損害を賠償する(製造物)責任を負う」と判断し、さらには、手指や調理器具等の洗浄も不十分であったとして不法行為責任も認め、原告らの請求を認めました

この訴訟では、食中毒の原因が本当に冷やしきゅうりであったか、露天商が加工・販売する過程でO-157が付着したのか、他の被告(街商連合、大会本部、市)に責任はあるか(判決は責任を否定。)といった点も争われ、双方の弁護士が様々な主張立証を戦わせています。

第一審の判決が出るまでの約5年間、当事者は大きな負担を強いられたと思います。

このような長期間にわたる訴訟でも、依頼者をサポートし、その負担を和らげるのが弁護士の役目です。

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