2023.08.30
2023年6月の株主提案数が過去最多となりました。
2023年6月の株主総会では、90社に対し334件の株主提案が出されました。
これは、昨年の77社、292件を上回っており、過去最多となります。
提案内容としては、自己株取得や増配などによる株主への還元や気候変動・ダイバーシティへの取組といったことを求めるもの、取締役選任に関するものなどが見受けられます。
東京証券取引所が、資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応を要請していることも、こうした提案を後押ししています。
参考:上場会社の取組み支援 | 日本取引所グループ (jpx.co.jp)
株主提案は否決されることがほとんどではありますが、一定の支持を集め、会社側に一定のインパクトを与えることも出てきています。
物言う株主(アクティビスト)などは事前に会社に要求を伝えて交渉しており、株主提案に至らなくとも、株主が会社経営に影響を与えることが出てきています。
他方、今でも、企業には株主との対話に消極的な姿勢がみられると指摘されています(株主との対話の推進と開示について・株式会社東京証券取引所上場部・2023年3月31日)。
しかし、以前のような株式の持ち合いが減少し、アクティビストも増加している現状では、株主や市場との対話は避けて通れません。
コーポレートガバナンス・コードでも、株主総会の場以外でも株主との間で建設的な対話を行うべきであるとされています(基本原則5)。
今後弁護士も、社外取締役として株主と対話する機会が出てくるかもしれません。
会社を取り巻く多様なステークホルダーの一員である株主と建設的な関係を築くことができれば、会社の持続的な成長に寄与する可能性があります。