2023.04.26
会社法833条1項1号による株式会社の解散請求を認める判決が出ました。
会社法833条1項1号による株式会社の解散請求を認めた判決がありました(東京地裁立川支部令和4年9月9日金融法務事情2200号102頁)。
この判決では、被告会社の発行済株式総数及び議決権を半々に持ち合っているA(原告)とB(株式会社の代表者)について、両者が不和・対立の状況にあり、この膠着状態は容易に解消できるとは見込めない、と認め、被告会社において多数決原理に基づく重要事項の意思決定が不可能となっている、として、被告会社は「業務の執行において著しく困難な状況」(会社法833条1項1号)に至っている、としました。
さらに、被告会社の売上高がほとんどなく、主たる資産(預金)が減少していること、研究開発中の事業の展開も不透明であることから、被告会社に「回復することができない損害が生じ、又は生じるおそれがある」(同号)と認めました。
そして、会社法833条1項1号の解散事由が認められる場合においては、意思決定不能の状況を打開する必要性が、法人格を維持できない場合の社会的損失を回避する必要性を上回る場合には、特段の事情のない限り、解散を請求する「やむを得ない事由」(会社法833条柱書)がある、との解釈論を示し、本件についてはこの「やむを得ない事由」も認められ、特段の事情の存在は認められない、として、被告会社の解散を認めました。
本判決は、どのような場合に株式会社の解散請求が認められるかについて、参考となると思われます。
【参考】
会社法
(会社の解散の訴え)
第833条 次に掲げる場合において、やむを得ない事由があるときは、総株主(株主総会において決議をすることができる事項の全部につき議決権を行使することができない株主を除く。)の議決権の十分の一(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権を有する株主又は発行済株式(自己株式を除く。)の十分の一(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の数の株式を有する株主は、訴えをもって株式会社の解散を請求することができる。
一 株式会社が業務の執行において著しく困難な状況に至り、当該株式会社に回復することができない損害が生じ、又は生ずるおそれがあるとき。
二 株式会社の財産の管理又は処分が著しく失当で、当該株式会社の存立を危うくするとき。
2 やむを得ない事由がある場合には、持分会社の社員は、訴えをもって持分会社の解散を請求することができる。