2024.06.13
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事前に書面で議決権行使をした株主が株主総会に入場・投票した事案(関西スーパー事件)について③
~裁判の行方
関西スーパー事件について、裁判所の判断は分かれました。
仮処分申立てを受けた神戸地方裁判所はオーケーの申立てを認め(神戸地決令和3年11月22日資料版商事法務454号131頁)、保全異議申立てに対する同地裁の裁判でも同様の判断が出ました(神戸地決令和3年11月26日資料版商事法務454号124頁)。
2つの地裁決定は、
- 出席株主がした議決権の行使の意味は客観的に決せられるべきであり、Bが未記入の投票用紙を投票箱に入れた行為は「棄権」(実質的に反対)と解釈するほかない
としたのです。
しかし、大阪高等裁判所はこの結論を覆しました(大阪高決令和3年12月7日資料版商事法務454号115頁)。
大阪高裁は、
- 「投票のルールの周知や説明がされておらず、そのために株主がこれを誤認したことがやむを得ないと認められる場合であって、投票用紙以外の事情をも考慮することにより、その誤認のために投票に込められた投票時の株主の意思が投票用紙と異なっていたことが明確に認められ、恣意的な取扱いとなるおそれがない場合には、・・・議長において、これら投票用紙以外の事情をも考慮して認められるところにより株主の投票内容を把握することも許容される」
とし、関西スーパーの主張を認めたのです。
最高裁もこの高裁決定を支持し、裁判は確定しました(最決令和3年12月14日資料版商事法務454号101頁)。