2024.11.28
ニュース
中小M&Aガイドラインが再度改訂されました④
(前回の続き)
⑥譲り渡し側の経営者保証の扱いについて
譲り渡し側の経営者保証の扱いは、M&Aを行う上で重要な問題です。
そこで、今回の改訂にあたって、譲り渡し側の経営者保証の扱いについての記述が追加されました。
まず、中小企業向けには、以下のような記載が追加されました。
- M&Aを進める前に、信用力・ガバナンスを構築した上で金融機関に相談し、経営者保証の解除について相談することなどが考えられる
- 譲り受け側の信用力・ガバナンスを踏まえた解除又は譲り受け側への経営者保証の移行をしたい意向がある場合は、次のような対応が考えられる
- 士業専門家(特に弁護士)や事業承継・引継ぎ支援センターへの相談
- 金融機関等への事前相談
- 最終契約における位置づけの検討
次に、仲介者・FA向けには、以下のような対応を行うよう求める記述が追加されています。
- 譲り渡し側の経営者の経営者保証に係る意向の丁寧な聴取
- 士業専門家(特に弁護士)や事業承継・引継ぎ支援センターへの相談や保証の提供先である金融機関に対するM&A成立前の相談も選択肢である旨の説明
- 譲り受け側の義務として保証の解除又は移行を位置づけた上で、保証の解除又は移行のクロージング条件としての設定や、仮に保証の移行がなされなかった場合を想定した条項を盛り込む方向での調整(保証の解除又は譲り受け側への移行を想定する場合)
加えて、金融機関に対しても、M&A実施前を含めて譲り渡し側から経営者保証の解除又は移行について相談を受けた場合には、秘密保持を徹底した上で、「経営者保証に関するガイドライン」及び「経営者保証に関するガイドラインの特則」に留意し、どうすれば経営者保証の解除の可能性が高まるか等について譲り渡し側に説明するなど、適切な対応を検討することを求めています。
⑦不適切な事業者の排除について
不適切な譲り受け側を排除するため、①譲り受け側に対する調査と譲り渡し側への報告、②不適切な行為に係る情報を取得した場合の対応方法、③業界内での情報共有の仕組みの構築に関する記載が追加されました。
今回の改訂のポイントは、以上のとおりです。
今回の改訂によってより多くの中小企業の経営者がM&Aを利用しやすくなり、さらにM&Aの活用が促進されるようになるのかどうか、更なる課題はどこにあるのか、今後も状況を見守っていきたいと思います。