2025.04.16
株主総会のお土産からみる株主総会の移り変わり②
もともと、株主総会のお土産は、1990年代から2000年代にかけて増えていったものでした。
お土産を出す理由は、個人株主に株主総会への参加を促し、株主総会を活性化させることだったようです。
この時期より前は、株主総会は、多数を占める安定株主からの拍手によって会社側の提案が可決されて短時間で終わる、いわゆる「シャンシャン総会」となっていました。
いわゆる総会屋対策のために、こうした運営が行われていたのです。
このような株主総会では、株主からの提案や質問はほとんどありませんでした。
こうした株主総会運営は、株式の持ち合いによる安定株主が多数を占めていたことによって可能となっていました。
この時期には、お土産は出していないとする会社が4~5割程度を占めていました。
参考文献:松中学「変わるものと変わらないもの―「2019年版株主総会白書」を読んで―」(商事法務2218号4頁)8頁
しかし、1990年代ごろから、バブル崩壊の影響などによって持ち合い株の解消が進んだために安定株主が減少し、一方で外国人投資家が増加していきました。
こうした株主構成の変化により、株主総会をより開かれたものとすることが求められ、個人株主にももっと株主総会に参加してもらおうとする会社が増えてきました。
そのための対策の一環として、株主総会に出席した株主にお土産を配る動きが出てきたのです。
実際、お土産を出していないとする会社の比率は1990年代ごろから減少しはじめ、2000年代の後半には2割程度となっています。
参考文献:松中学「変わるものと変わらないもの―「2019年版株主総会白書」を読んで―」(商事法務2218号4頁)8頁
このように、1990年代以降は、日本の株主総会が大きく変化した時期でした。
我々弁護士も、株主総会実務に携わりながら、こうした変化を直に感じてきたものです。
(次回に続く)